親の高齢化や施設入所、あるいは相続をきっかけに、実家が空き家になるケースは年々増えています。多くの場合、「まだ住んでいるから」「そのうち考えればいい」と先送りされがちですが、実家が空き家になってからでは選択肢が狭まり、家族の負担も大きくなります。
終活は、人生の終わりだけを意識するものではありません。住まいと財産をどう扱うかを事前に整理する行為でもあります。実家が空き家になる前に対策を考えることで、将来のトラブルや後悔を減らすことができます。
2. なぜ空き家になる前の終活が重要なのか
空き家になった実家は、想像以上に多くの問題を抱えます。
- 管理が行き届かず老朽化が進む
- 固定資産税や維持費がかかり続ける
- 相続人同士の意見がまとまらない
- 売却や活用の判断が遅れる
住んでいる人がいるうちであれば、名義や希望を確認でき、意思決定もスムーズです。終活の一環として実家について話し合うことは、家族全体の安心につながります。
3. 実家の現状を把握することから始める
終活対策の第一歩は、実家の現状を正確に知ることです。
- 不動産の名義は誰になっているか
- 住宅ローンは残っているか
- 築年数や修繕履歴はどうなっているか
- 土地・建物の評価額はどの程度か
これらを把握しないまま話を進めると、後になって思わぬ制約が見つかることがあります。資料を集め、家族で共有することが大切です。
4. 実家をどうするかの選択肢を整理する
4-1. 家族が住み続ける
子ども世代が実家に戻って住む場合、名義変更や将来の相続を見据えた整理が必要です。リフォーム費用や維持費も含め、現実的に住み続けられるかを検討します。
4-2. 賃貸として活用する
空き家にせず賃貸に出すことで、管理費や税金の負担を軽減できます。ただし、修繕費や管理体制、借主とのトラブル対応など、事前に確認すべき点も多くあります。
4-3. 売却する
売却はもっとも分かりやすい選択肢ですが、感情面で踏み切れないこともあります。親の意向を確認し、元気なうちに判断することが重要です。
4-4. 将来のために保有する
すぐに使い道が決まらなくても、一定期間保有するという考え方もあります。その場合、定期的な管理や見回りの体制を整えておく必要があります。
5. 名義と相続の整理は早めに行う
実家が空き家問題に発展する大きな原因の一つが、名義と相続の不備です。
- 名義が故人のままになっている
- 相続人が複数いて話が進まない
- 遺言がなく意向が分からない
終活の中で、遺言書の作成や相続の方向性を話し合っておくことで、実家を巡る争いを防ぐことができます。
6. 物の整理と気持ちの整理を並行して進める
実家には、長年の思い出や大量の家財が残されています。空き家になってから一気に片付けるのは、肉体的にも精神的にも大きな負担です。
住んでいるうちから少しずつ整理を進めることで、気持ちの整理も同時に進みます。終活としての片付けは、家族の会話を生むきっかけにもなります。
7. まとめ:実家の終活対策は家族への思いやり
実家が空き家になる前に終活対策を考えることは、自分のためだけでなく、残される家族への思いやりでもあります。先送りにするほど選択肢は減り、負担は増えていきます。
名義、管理、活用、処分の方向性を少しずつ整理し、家族で共有しておくことが大切です。実家について考える終活は、これからの暮らしと安心を整えるための重要な一歩と言えるでしょう。
