海外で亡くなった場合の帰国・葬儀費用

海外旅行や海外赴任、長期滞在が一般的になった現代では、「海外で亡くなった場合の対応」も決して他人事ではありません。もし国外で死亡した場合、遺族は現地での手続きと同時に、遺体を日本へ帰国させるかどうかという大きな判断を迫られます。

本記事では、海外で亡くなった場合に必要となる帰国費用や葬儀費用の目安、そして事前に知っておきたい注意点について整理して解説します。

1. 海外で亡くなった場合にまず必要となる対応

海外で死亡が確認されると、現地の医療機関や警察による手続きが行われます。その後、死亡診断書の発行や日本大使館・領事館への連絡が必要になります。

この段階で発生する主な対応は以下のとおりです。

  • 現地での死亡証明書の取得
  • 日本大使館・領事館への届け出
  • 遺体の保全・安置手配

これらは個人で行うのが難しいため、多くの場合は現地の専門業者や日本側の葬儀社が窓口となります。

2. 遺体を日本へ帰国させる場合の費用

遺体を日本へ搬送する場合、費用は非常に高額になる傾向があります。距離や国によって差はありますが、数百万円規模になることも珍しくありません。

主な費用項目は以下のとおりです。

  • 防腐処置・エンバーミング費用
  • 棺・輸送用ケース代
  • 航空機による国際搬送費
  • 現地および日本での手続き代行費

特に航空機での搬送費は高額になりやすく、渡航距離が長いほど費用も増加します。

3. 現地で火葬・埋葬を行う場合の費用

必ずしも遺体を日本へ帰国させなければならないわけではありません。現地で火葬を行い、遺骨のみを帰国させるという選択肢もあります。

この場合、費用は比較的抑えられる傾向があります。

  • 現地での火葬・埋葬費用
  • 遺骨の輸送費
  • 必要書類の翻訳・手続き費用

ただし、国や宗教によって火葬が認められていない場合もあるため、現地の制度や慣習の確認が不可欠です。

4. 日本で行う葬儀にかかる費用

遺体または遺骨が日本に戻った後は、通常どおり日本で葬儀を行います。この際の費用は、国内で亡くなった場合と大きくは変わりません。

一般的に発生する費用は以下のとおりです。

  • 葬儀一式費用
  • 火葬場利用料
  • 僧侶へのお布施

ただし、帰国後すぐに葬儀を行う必要がある場合、追加の安置費用がかかることもあります。

5. 海外死亡時に備えて知っておきたいポイント

海外での死亡は、精神的負担だけでなく経済的負担も非常に大きくなります。以下の点を事前に把握しておくことで、万一の際の混乱を軽減できます。

  • 海外旅行保険に死亡・搬送補償が含まれているか
  • 勤務先や団体の補償制度の有無
  • 家族が連絡先や契約内容を把握しているか

特に海外旅行保険や海外赴任者向け保険は、搬送費用を大きくカバーできる場合があります。

6. 家族への情報共有が重要

どれだけ準備をしていても、情報が家族に共有されていなければ意味がありません。保険内容や希望する対応方法については、事前に伝えておくことが大切です。

簡単なメモや終活ノートにまとめておくだけでも、遺族の負担は大きく軽減されます。

まとめ

海外で亡くなった場合、帰国や葬儀には国内とは比較にならないほどの費用と手続きが必要になります。遺体を帰国させるか、現地で火葬を行うかによっても、総額は大きく変わります。

事前の情報収集と備えが、残される家族を守ることにつながります。海外に行く機会がある人ほど、この問題を現実的に考えておくことが重要です。

著者
終活実務アドバイザー
ゆかり

葬儀社勤務歴10年。現在は終活カウンセラーとして活動し、現場経験と実例に基づいた情報を発信中。
家族葬・直葬・樹木葬など、多様化する供養の形を分かりやすく伝えることをモットーに、「悔いのない選択」をサポートしています。
終活セミナー講師経験もあり、実際に相談を受けた内容をもとに、読者に寄り添う視点を大切にしています。

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