死亡に伴うクレジットカード解約とポイント処理

家族が亡くなった後、意外と対応が遅れやすいのがクレジットカードの解約です。カードは放置しても自動的に解約されるわけではなく、年会費の請求や不正利用のリスクが残ります。

本記事では、死亡に伴うクレジットカード解約の流れと必要書類、残ったポイントの扱い、相続との関係や注意点を分かりやすく解説します。

1. 死亡後もクレジットカードは有効なまま

カード名義人が亡くなっても、カード会社は自動で状況を把握しません。そのため、解約手続きをしない限り、次のような状態が続きます。

  • 年会費や月会費が請求される
  • 公共料金などの継続課金が引き落とされる
  • 第三者による不正利用のリスクが残る

特にサブスクリプションや公共料金の支払いに使われている場合、解約前に支払い先の変更が必要になる点に注意が必要です。

2. クレジットカード解約の基本的な流れ

死亡に伴う解約は、遺族からの連絡で行います。一般的な流れは次のとおりです。

  1. カード会社のカスタマーサポートへ連絡
  2. 名義人が死亡した旨を伝える
  3. 必要書類を提出
  4. カード解約・利用停止

電話連絡の時点で即時利用停止となるケースが多く、不正利用防止の観点からも早めの連絡が重要です。

3. 解約に必要となる主な書類

カード会社によって差はありますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです。

  • 死亡を証明する書類(死亡診断書の写し、除籍謄本など)
  • 手続きを行う人の本人確認書類
  • 契約者との関係が分かる書類(戸籍など)

提出方法は郵送やオンラインなど会社ごとに異なります。原本かコピーかの指定も必ず確認しましょう。

4. 未払い残高と相続との関係

解約時点でクレジットカードの未払い残高がある場合、その債務は相続財産として扱われます。

  • 利用残高は相続人が引き継ぐ可能性がある
  • 分割払いやリボ払いの残債も対象
  • 相続放棄をする場合は支払い義務を負わない

相続放棄を検討している場合、安易に支払いをしないことが重要です。支払い行為が相続の承認と見なされる可能性があるため、専門家への相談をおすすめします。

5. 残ったポイントはどうなるのか

クレジットカードのポイントやマイルは、解約時に失効するケースが大半です。

一般的な扱いは以下のとおりです。

  • 解約と同時にポイントは消滅
  • 相続財産として引き継げないことが多い
  • 第三者への譲渡が認められない場合が多い

一部のカードでは、解約前であれば商品交換や電子マネーへの移行が可能な場合もあります。ただし、死亡後は原則として利用不可となるため、過度な期待は禁物です。

6. 家族カード・ETCカードの扱い

名義人が亡くなると、付帯する家族カードやETCカードも無効になります。

  • 家族カードは本会員の死亡で自動解約となる
  • ETCカードも同時に利用停止
  • 必要であれば別名義で新規契約が必要

日常的に使っていた場合は、早めに代替手段の準備をしておくと安心です。

7. 解約のタイミングと優先順位

クレジットカードの解約は、葬儀後の比較的早い段階で行うことが望ましい手続きです。

  • 不正利用の防止
  • 年会費の発生を防ぐ
  • 相続手続きの整理がしやすくなる

目安としては、葬儀後1か月以内を意識すると、負担が少なくなります。

まとめ

死亡に伴うクレジットカードの解約は、放置すると費用やトラブルの原因になります。早めにカード会社へ連絡し、必要書類を提出して利用停止・解約を進めることが大切です。

ポイントは原則として引き継げないこと、未払い残高は相続に関係することを理解したうえで、他の相続手続きと並行して整理していきましょう。計画的な対応が、遺族の負担を大きく減らします。

著者
終活実務アドバイザー
ゆかり

葬儀社勤務歴10年。現在は終活カウンセラーとして活動し、現場経験と実例に基づいた情報を発信中。
家族葬・直葬・樹木葬など、多様化する供養の形を分かりやすく伝えることをモットーに、「悔いのない選択」をサポートしています。
終活セミナー講師経験もあり、実際に相談を受けた内容をもとに、読者に寄り添う視点を大切にしています。

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