死亡届を提出すると、法律上その人が亡くなったことが正式に記録されます。しかし、遺族にとって本当に大変なのはその後です。役所、年金事務所、保険、税金など、短期間のうちに多くの行政手続きを進めなければなりません。
しかも、それぞれに期限や窓口が異なり、順番を誤ると二度手間になることもあります。ここでは、死亡届提出後に必要となる行政手続きを、流れが分かる形で一覧化し、注意点も含めて解説します。
2. 死亡届提出後すぐに行うべき手続き
2-1. 火葬・埋葬に関する許可証の取得
死亡届を提出すると、市区町村から火葬許可証が交付されます。これは火葬を行うために必須の書類で、葬儀社が代行するケースも多いですが、原本の扱いには注意が必要です。
2-2. 世帯主変更届の提出
亡くなった方が世帯主だった場合、14日以内に世帯主変更届を提出する必要があります。新しい世帯主を誰にするかで、その後の行政通知の宛先も変わるため、早めに対応しましょう。
3. 年金・保険に関する手続き
3-1. 年金受給停止と未支給年金の請求
国民年金・厚生年金を受給していた場合、年金受給停止の手続きが必要です。これを怠ると過払いとなり、後日返還請求されることがあります。
一方で、亡くなった月分までの年金は未支給年金として遺族が請求できます。請求できる順位が決まっているため、該当者は確認が必要です。
3-2. 健康保険の資格喪失届
国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合、資格喪失届を提出し、保険証を返却します。会社の健康保険の場合は、勤務先を通じて手続きを行います。
3-3. 葬祭費・埋葬料の申請
健康保険からは、条件を満たすと葬祭費や埋葬料が支給されます。申請期限は多くの場合2年以内ですが、自治体によって異なるため確認が必要です。
4. 税金・収入に関する手続き
4-1. 準確定申告
亡くなった方に収入があった場合、準確定申告が必要になることがあります。期限は死亡を知った日の翌日から4か月以内と短く、医療費控除なども含めて整理が必要です。
4-2. 住民税・固定資産税の確認
住民税や固定資産税は、亡くなった後も課税されるケースがあります。納付書の名義変更や相続人による支払いについて、自治体からの通知を確認しましょう。
5. その他忘れやすい行政手続き
- 運転免許証の返納
- マイナンバーカードの返納
- 障害者手帳・各種受給証の返却
- 介護保険資格喪失届
- 公共料金名義変更(行政外だが重要)
これらは罰則がない場合も多いですが、放置すると後々のトラブルにつながることがあります。
6. まとめ:一覧で把握し、無理のない順序で進める
死亡届提出後の行政手続きは、数も多く精神的な負担も大きいものです。しかし、すべてを一度に完璧に終わらせる必要はありません。期限があるもの・生活に直結するものから優先して進めることが大切です。
自治体の窓口や年金事務所では、相談に応じてくれるケースも多く、チェックリストを用意している場合もあります。一人で抱え込まず、使える制度やサポートを活用しながら、少しずつ整理していきましょう。
