家族が亡くなった後、葬儀や各種手続きに追われる中で見落としやすいのが介護サービス終了の連絡です。介護保険サービスは自動的に停止されるわけではなく、連絡が遅れると不要な請求やトラブルにつながることがあります。
本記事では、介護サービス終了時に必要となる連絡先と手続きを、優先順位が分かる形で一覧化し、スムーズに進めるためのポイントを解説します。
1. まず連絡すべき相手と優先順位
介護サービスの終了連絡には順番があります。以下の優先順位を意識すると、混乱を防ぎやすくなります。
- 担当ケアマネジャー
- 利用していた各介護サービス事業所
- 市区町村の介護保険窓口
最初にケアマネジャーへ連絡することで、以降の手続きや必要連絡先を整理してもらえる場合が多く、負担を軽減できます。
2. ケアマネジャーへの連絡内容
ケアマネジャーには、できるだけ早く死亡の事実を伝えます。電話連絡で問題ありません。
伝える主な内容は以下のとおりです。
- 本人が亡くなった日時
- 今後のサービス利用が不要であること
- 請求や返却物の確認
ケアマネジャーは、各事業所への連絡調整や、書類の扱いについて助言してくれる立場にあります。
3. 介護サービス事業所への終了連絡
次に、実際に利用していた介護サービス事業所へ連絡します。
対象となる主なサービスは以下のとおりです。
- 訪問介護(ヘルパー)
- 訪問看護
- デイサービス・デイケア
- 福祉用具レンタル
- ショートステイ
連絡時には、サービス終了日と最終利用日を確認し、未清算分の有無を必ず確認しましょう。
4. 福祉用具レンタルの返却手続き
介護ベッドや車いすなどの福祉用具をレンタルしていた場合、返却手続きが必要です。
- レンタル事業者へ返却日を連絡
- 回収日時の調整
- 破損・紛失の有無を確認
返却が遅れると、その分の利用料が発生する場合があります。早めの連絡が重要です。
5. 市区町村(介護保険窓口)での手続き
介護保険の資格喪失手続きは、市区町村の窓口で行います。多くの場合、死亡届と連動して処理されますが、念のため確認しておくと安心です。
確認・対応する主な内容は以下のとおりです。
- 介護保険被保険者証の返却
- 未払い・過払い保険料の精算
- 高額介護サービス費の申請可否
返却方法は窓口持参または郵送が一般的です。
6. 介護施設入所中だった場合の注意点
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに入所していた場合は、施設への連絡も必要です。
- 退去日と利用料の精算
- 私物の引き取り
- 預り金や保証金の返還手続き
月途中での退去となる場合、日割り計算の有無を確認しておくとトラブルを防げます。
7. 手続きでよくある注意点
介護サービス終了時には、次のような点に注意が必要です。
- 連絡が遅れると請求が続くことがある
- 口頭連絡だけでなく書面確認が必要な場合がある
- 複数サービス利用時は連絡漏れが起きやすい
チェックリストを作り、一つずつ確認しながら進めることが有効です。
まとめ
介護サービスの終了手続きは、葬儀後の慌ただしい時期に重なり、見落とされがちです。しかし、連絡と手続きを適切に行うことで、不要な請求や後日のトラブルを防ぐことができます。
ケアマネジャーを起点に、事業所・自治体へ順に対応することが、負担を減らすコツです。無理をせず、分からない点は遠慮なく相談しながら、一つずつ整理していきましょう。
