人が亡くなった後も、SNSやインターネット上のアカウントは自動的に消えるわけではありません。近年は、故人のアカウントが長期間残り続け、トラブルや精神的負担につながるケースも増えています。
本記事では、死後に問題となりやすいSNS・インターネットアカウントの扱いについて、削除や停止の基本的な流れ、必要となる手続き、注意点を分かりやすく解説します。
1. 死後もSNSアカウントが残る理由
SNSや各種オンラインサービスは、原則として本人の意思による操作を前提に設計されています。そのため、利用者が亡くなった場合でも、サービス側が自動的に削除することはほとんどありません。
その結果、次のような問題が生じることがあります。
- 誕生日通知やおすすめ表示が続く
- 第三者による不正ログインのリスク
- 遺族の心の整理を妨げる
これらを防ぐためにも、遺族による適切な対応が必要になります。
2. 削除・停止の対象となる主なアカウント
死後に整理すべきアカウントは、SNSだけではありません。
- SNS(交流・発信系サービス)
- メールアカウント
- ショッピングサイト・サブスクリプション
- クラウドサービス
- オンラインバンキング・電子決済
特に、金銭や個人情報に関わるサービスは、優先的に対応することが重要です。
3. SNSアカウント削除の基本的な流れ
多くのSNSでは、遺族からの申請によって「削除」または「追悼アカウント化」といった対応が行われます。
一般的な手続きの流れは次のとおりです。
- 各サービスの公式窓口を確認
- 故人が亡くなったことを証明する書類を用意
- 申請フォームまたは問い合わせ窓口から連絡
- 運営側の審査後、削除または変更が実施される
即日対応されることは少なく、一定の時間がかかる点を理解しておきましょう。
4. 手続きに必要となる主な書類
多くのサービスで共通して求められる書類は以下のとおりです。
- 死亡を証明する書類(死亡診断書や除籍謄本など)
- 申請者の本人確認書類
- 故人との関係を示す書類(戸籍など)
提出方法は、アップロードや郵送などサービスによって異なります。原本が必要かコピーでよいかも事前に確認しましょう。
5. 削除できない・すべきでないケース
すべてのアカウントを必ず削除すればよい、というわけではありません。
- 家族の思い出として残したい場合
- 業務や契約に関係するアカウント
- 追悼アカウントとして運用される場合
SNSによっては、削除ではなく追悼状態に切り替える選択肢が用意されていることもあります。遺族の気持ちや状況に合わせて選ぶことが大切です。
6. 事前にできる生前対策
死後のアカウント整理は遺族にとって大きな負担になります。そのため、生前の備えが重要です。
- 利用中のサービス一覧を残しておく
- IDや管理方法をエンディングノートに記載
- デジタル遺品の扱いについて意思を伝える
パスワードを直接残すのではなく、「どのサービスをどうしたいか」という方針を伝えておくだけでも、遺族の負担は大きく軽減されます。
まとめ
死後のSNS・インターネットアカウントは、放置すると精神的・実務的な問題を引き起こす可能性があります。遺族による削除や停止手続きは可能ですが、時間と手間がかかることを理解しておく必要があります。
生前の整理と意思表示、そして遺族による冷静な対応が、トラブルを防ぐ鍵となります。デジタル時代の終活の一つとして、インターネット上の情報整理にも目を向けておきましょう。
